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ばあちゃん

まごちゃん、まごちゃん。

まご

どうしたの、ばあちゃん。

ばあちゃん

この前、マイホームの買換え特例というのを聞いたんだけど
よく分からなくて…。
これは、税金がかからない、とか何かおトクな話なのかい?

まご

なるほど、マイホームの買換え特例のことね。
それじゃあ、今から詳しく説明するよ!

~目次~

マイホームの買換え特例ってなんだ?

ばあちゃん

まごちゃん、マイホームの買換え特例ってのは何なんだい?

まご

マイホームの買換え特例は、令和3年12月31日までに居住用財産の譲渡(マイホームの売却)をした場合、
一定の要件のもと、譲渡益(マイホームなどの資産を売却した際に得られる利益)に対する課税を将来に繰り延べることができる、という制度のことをいうよ。

ばあちゃん

その課税を将来に繰り延べる、というのは、
マイホームの売却の際の譲渡益に課税がされなくなるということかい?

まご

違うんだ、ばあちゃん。
マイホームの買換え特例は、譲渡益が非課税になるわけじゃなくて、
売却した年分で譲渡益への課税が行わず、買い換えたマイホームを将来的に譲渡したときに
買い換えたマイホームの関する譲渡所得とまとめて課税を行う、という制度なんだ。

ばあちゃん

なるほどねえ。
税金がかからなくなる、というわけじゃないのねえ。

買い替え特例とは

買い替え特例文字通り買い替えるときに利用できる特例です。元の住宅を売却した価格よりも高い価格の住宅に買い替えた場合、譲渡所得への課税を次回の売却時まで繰り延べられるというものになります。例えば3000万円で購入した住宅を4000万円で売却した場合、差額の1000万円が収入金額として課税の対象になるが、売却価格より高い5000万円の住宅に買い替えた場合は譲渡所得に課税されない仕組みです。

ただし、あくまで課税の繰り延べなので、次にその住宅を売却したときに譲渡所得が出たら、前回繰り延べた分の譲渡所得が加算されて税額が計算されます。

3000万円控除ではなくマイホームの買換え特例を選択するメリット

ばあちゃん

それじゃあ、マイホーム買換え特例を適用したとしても
将来に課税が先延ばしされるだけなんだから、本当にこの制度はおトクといえるのかい?
むしろ、マイホームの売却における3000万円控除を適用した方が
税金がかからないからおトクなんじゃないかい?

(詳しくはコチラ)
マイホーム売却における3000万円控除って知ってる?~ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」②~

まご

確かに、その一面はあるよ。
だけど、マイホームを売却した際の譲渡益が3000万円を超える場合は、
マイホームの売却における3000万円控除では、すべての課税を免れることはできないね。

ばあちゃん

なるほどつまり、譲渡益が3000万円を超える場合、その超過部分に課税がされるから
マイホームの売却における3000万円控除を選択すると
新居を買替える資金が目減りしてしまうのね。

まご

そういうこと。マイホームの買換え特例を選択すると、
マイホーム売却の際の譲渡益に対する課税をすべて将来に繰り延べることができるから、
マイホームを売却した時に手元に入る資金をすべて新しく購入するマイホームの買換資金に使うことが出来るんだ。

ばあちゃん

マイホームの売却における3000万円控除マイホームの買換え特例
どちらの制度がおトクか、はケースバイケースなのねえ。

まご

そういうこと!
なお、マイホームの売却における3000万円控除マイホームの買替え特例は、
同時に選択することはできないから注意が必要だよ。

※マイホームの買い換え特例は住まいを売却して買い換え資産を当年、翌年、あるいは前年に取得した場合に適用される制度です。なお、手許に現金を多く残したい場合や、再度買い換えを計画している場合などには、3000万円の特別控除と低率分離課税を選択したほうがより有利となるケースもあるので、専門家と十分に相談しましょう。

マイホームの買換え特例の適用条件

ばあちゃん

それじゃあ、マイホームの買換え特例を適用するためには、
どんな要件が満たされていなきゃならないのかな。

まご

適用要件はね、大きく分けて
売却するマイホーム買い換えの時期新しく購入するマイホーム、
新しく購入する土地、新しく購入したマイホームの居住開始時期
5つの観点から、整理することができるよ。

●売却するマイホーム側の観点

・「居住用財産の譲渡」であること
(詳しくはコチラ)
マイホーム売却における3000万円控除って知ってる?~ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」②~
・売却価格が1億円以下であること
・売却するマイホームについて、売却した年の1月1日における所有期間が10年を超えていること
・買換え特例の適用者の居住用家屋で居住期間が10年以上であること
(※一時居住しなかった期間がある場合は、その期間を除く)

●買い換えの時期の観点

・マイホームを売却した年の前年1月1日から売却した年の翌年の12月31日の3年の間にマイホームを買い換えること

●新しく購入するマイホーム側の観点

・買換え特例の適用者の居住用部分の床面積が50㎡のものであること
(※中古住宅である耐火建築物については、新築後の経過年数が25年以内のもの
または、いわゆる「耐震住宅」として、証明されたものであること)
(※中古住宅である非耐火建築物については、新築後の経過年数が25年以内のもの
または、取得期限までにいわゆる「耐震住宅」として、証明されたものであること)

●新しく購入する土地側の観点

・敷地面積が500㎡であること

●新しく購入したマイホームの居住開始時期の観点

・新しく購入したマイホームの取得時期により、次の期限にまで、居住を開始すること

・売却年またはその前年に取得売却年の翌年12月31日にまで居住開始
・売却年の翌年に取得取得年の翌年12月31日までに居住開始
(「買換資産の明細書」の提出が必要)
ばあちゃん

なるほどねえ、色々な条件があるのねえ。

まご

そう、だからマイホーム買替え特例の適用を検討する際は、
上の条件をちゃんと満たしているか、確認、注意することが大切だね。

マイホームの買替え特例を適用を受けた場合の譲渡所得の計算

まご

マイホームの買替え特例を適用を受けない場合
譲渡所得を導き出す具体的な計算式は、

収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除=譲渡所得金額

まご

だったね。
(詳しくはコチラ)
譲渡所得にかかる税金ってどれくらい?~ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」①~

マイホームの買替え特例の適用を受けた場合は、以下のように譲渡所得が軽減されるよ。

マイホーム売却価格(譲渡資産の譲渡価格)≦新しいマイホーム購入価格(買替資産の取得価格)
→→譲渡所得=0円
  


マイホーム売却価格(譲渡資産の譲渡価格)>新しいマイホーム購入価格(買替資産の取得価格)
→→差額収入金額
   

まご

そして、売却価格>購入価格の場合は、

{[売却価格−取得価格]}(収入金額)−{[譲渡資産の取得費+譲渡費用]}

まご

の、上の式に

{[売却価格−取得価格](収入金額)}−{[譲渡資産の取得費+譲渡費用]×{[譲渡価格−取得価格]/譲渡価格}
=土地建物等の譲渡所得金額

まご

を、付け足して計算するよ。

具体的な事例を検討しよう

まご

それじゃあ、具体的な事例を見てみよう!

~事例~

昭和50年頃に取得した住宅に住んでいたが、令和2年中にその住宅と敷地を6000万円で売却し、
4000万円の新築住宅(床面積100㎡、敷地面積150㎡)に買い換えた。

譲渡所得にかかる税額はいくらになるか?

譲渡資産の譲渡価格譲渡資産の取得費譲渡資産の譲渡費用買換資産の取得価格
6000万円不明(概算取得費の5%を適用)300万円4000万円
Q.土地建物の譲渡所得の額は?
まご

それじゃあ、検討してみよう!

本事例は、譲渡資産の譲渡価格が6000万円、買替資産の取得価格が4000万円、と
売却価格>購入価格のパターンなので、譲渡所得

{[売却価格−取得価格]}(収入金額)−{[譲渡資産の取得費+譲渡費用]}×{[譲渡価格−取得価格]/譲渡価格}=土地建物等の譲渡所得金額

まご

の式で計算することになるよ!

そして、この式を本事例にあてはめてみると…

{[6000万円(売却価格)−4000万円(取得価格)]}(収入金額)−{[6000万円×5%(譲渡資産の取得費)+300万円(譲渡費用)]×{[6000万円−4000万円(譲渡価格−取得価格)]/6000万円(譲渡価格)}=1800万円(土地建物等の譲渡所得金額)

まご

よって、土地建物の譲渡所得は1800万円になるね。

Q.最終的な税額は?
まご

譲渡所得にかかる税金の具体的な額を導くための計算式は、

譲渡所得の金額×税率=具体的な税額

だったね。
(詳しくはコチラ)
譲渡所得にかかる税金ってどれくらい?~ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」①~

そして、税率は売却する土地の所有期間が、その土地や建物を売った年の1月1日の時点において
5年以上の場合には、
原則として税率は、所得税が15.315%、住民税が5%になるんだったね。

とすれば、本事例では、現在が令和2年で売却する住宅は昭和50年頃に取得したものだから
所有期間は5年以上を超えていると言えるね。

だから、本事例の具体的な税額は、

1800万円(譲渡所得の金額)×20.315%(税率)=365.67万円(具体的な税額)

まご

よって、本事例の具体的な税額は、365.67万円となるよ。

まとめ

ばあちゃん

まごちゃん、ありがとう。
これでマイホームの買換え特例のことが、色々わかったわ。

まご

どういたしまして、ばあちゃん。
マイホームを売る場合、今回のマイホームの買換え特例だけじゃなくて
他にもいろいろな制度があるから、また次回以降に説明するね!

ばあちゃん

まだ他にもマイホームを売るときにはおトクな制度があるのねえ、助かるねえ。
次回も楽しみにしてるよ、まごちゃん。

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