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ばあちゃん

まごちゃん、まごちゃん。

まご

どうしたの、ばあちゃん。

ばあちゃん

ばあちゃん、マイホームを売りたいの。

まご

おお、いいね。

ばあちゃん

でも、マイホームを売却した時にかかる税金のことがよくわからなくて…。

まご

ばあちゃん、実はね、
マイホームを売却した時にかかる税金は、マイホームじゃない他の不動産を売った時と比べて
色んな特例によって軽減されることが法律で定められているんだよ!

ばあちゃん

それじゃあ、マイホームおトクに売れるってことかい?

そうだよ、ばあちゃん。
それじゃあ、これからマイホームを売却した時にかかる税金のことについて
詳しく簡単に説明するね。

~目次~

マイホームの売上代金の一部(譲渡所得)には、税金がかかる!

まご

まず、マイホームの売上代金の一部には税金がかかるよ。

ばあちゃん

その、マイホームの売上代金の一部のことを譲渡所得というんだね。

まご

そう。

譲渡所得の具体的な計算式は、簡潔に言うとこんな感じだよ。

収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除=譲渡所得金額

詳しい説明は、
譲渡所得にかかる税金ってどれくらい?~ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」①~

を見てみてね。

ばあちゃん

相変わらず、分かりやすい説明だねえ。
それでその、譲渡所得ってやつに税金がかかるってワケなのね。

まご

そうだよ。
譲渡所得には、所得税住民税がかかるよ。

土地建物の税金①からのおさらい

取得費や譲渡費については下記の物が含まれます。

【取得費】
・土地・建物の購入代金や建築代金
・購入時の税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税など)
・仲介手数料
・測量費、整地費、建物解体費など
・設備費、改良費
・一定の借入金利子

【譲渡費用】
・仲介手数料
・印紙税
・借家人に支払った立退料
・建物解体費など
・売買契約締結後に支払った違約金
・借地権の名義書換料など

なお、建物は期間の経過により価値が減少していくので、用途や構造、経過年数に応じた減価償却費を取得費の合計額から差し引くことになります。

譲渡所得にかかる税金の計算

ばあちゃん

それで、その譲渡所得にかかる税金の具体的な額はどうやって出すんだい?

まご

譲渡所得にかかる税金の具体的な額を出す計算式は、

譲渡所得額×税率=譲渡所得にかかる税金の具体的な額

となるよ。

ばあちゃん

それじゃあ、税率ってのはどうやって決まるんだい?

まご

税率は、ばあちゃんが売ろうとする土地や建物を所有していた期間で変わるんだ。

詳しい説明は、
譲渡所得にかかる税金ってどれくらい?~ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」①~

を見てみてね。

ばあちゃん

なるほどねえ。基本的には、私が売ろうとする土地や建物を5年間持っていたか否か、で適用される税率が変わるのねえ。

まご

そういうこと。

適用税率まとめ

【短期譲渡所得】
譲渡所得×39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
※復興特別所得税の税率は2.1%で、これを所得税に乗じた値となる

【長期譲渡所得】
譲渡所得×20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)

そもそも、税金が軽減されるマイホームの売却ってなに?

まご

ところでさっき僕、
マイホームを売却した場合は、税金の軽減に関して様々な特例が設けられている、って言ったね。

ばあちゃん

そうだねえ。

まご

実はね、税金の軽減に関する様々な特例が適用される「居住用財産の譲渡」、つまりマイホームの売却
どんな場合を指すのかは、法律で具体的に決まっているんだ。

ばあちゃん

へえ。それじゃあ、法律では「居住用財産の譲渡」はどんな場合をさすんだい?

まご

それはね、特例が適用される「居住用財産の譲渡」とは、

現在、住んでいる家屋を売る場合

現在、住んでいる家屋とともにその敷地である土地など(借地権等を含む)を売る場合

以前に住んでいた家屋及びその家屋とともにその敷地である土地など(借地権等を含む)を売る場合
(住まなくなってから3年目の年末までの売却に限定)

現在、住んでいる家屋または以前に居住していた家屋を取り壊して、その敷地であった土地など(借地権等を含む)を
譲渡した場合
(家屋の取壊しから1年以内の売却に限定)
(家屋の取壊しから売買契約を締結した日まで、その土地を貸付けなどその他の用途に供してない場合に限定)
(住まなくなってから3年目の年末までの売却に限定)

災害によって無くなった居住用家屋の敷地であった土地など(借地権等を含む)を売る場合

を指すよ。

ばあちゃん

なるほどねえ。現在、その家屋に住んでいなくても
一定の条件が満たされれば、特例が適用されるのねえ。

まご

でもね、売却の相手方が、以下の人たちの場合には、
特例適用の対象となるマイホームの売却から除外されるから注意が必要だよ。

・売主の配偶者、直系血族
・売主と生計を同じくしている親族
・家屋の売却後、その家屋に売主と同居する親族
・売主と内縁関係にある人、内縁関係にある人と生計を同じくしている親族
・その他売主と特殊の関係にある個人または法人

マイホームを売るときはちゃんと、売る相手方がどんな人なのか、を
ちゃんと確認することが大切だね。

ばあちゃん

なるほどねえ。

マイホーム売却における3000万円控除ってなんだ?

まご

まず、復習するよ。
譲渡所得にかかる税金の具体的な額を出す計算式、ってどんな式だったけ?

ばあちゃん

確か…

譲渡所得額×税率=譲渡所得にかかる税金の具体的な額

だったわね。

まご

正解!

そしたら、譲渡所得にかかる税金の具体的を出す計算式の基礎となる
譲渡所得額はどうやって導くんだっけ?

ばあちゃん

えっと…

譲渡所得額=収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除

だったね。

まご

そうそう!

そしたら、マイホームの売却の話に戻るよ。
マイホームを売却する場合、譲渡所得額を導く前提となる
収入金額−(取得費+譲渡費用)の部分(この部分の利益を譲渡益というよ)から、最高3000万円
控除
(特別控除の一種だよ)して、税額の計算の基礎とすることができるんだ。

ばあちゃん

つまり、マイホームを売って得した額の最高3000万円の部分には
税金がかからない
ってことかい!?

まご

そういうこと!

もっと詳しく3000万円控除!

3000万円控除とは譲渡所得のうち最高3000万円までは税金がかからないというものです。特例を利用した場合の税額の計算式は以下のようになります。

3000万円特別控除の税額計算式
(譲渡所得-3000万円)×税率=税額

この3000万円特別控除を受けるには、住宅や人に特別な要件はありません。ただし、前年または前々年に同じ控除を利用している場合は適用を受けることができません。

さらに住宅ローン控除との併用もできないので注意が必要です。買い替えで家を売却したときに売却益が出て、買い替え先の住宅を買うときに住宅ローンを利用する場合は、3000万円特別控除か住宅ローン控除か、どちらかを選ぶことになりますのでご注意ください。

こんなケースはどうなる?Q&A

Q.複数のマイホームを所有している場合や仮住まいの場合、
 マイホーム3000万円控除の対象となるマイホームはどの家屋になるの?
まご

控除の対象となる家屋は、所有者が居住している家屋であるのが原則だよ。
つまり、以下の家屋の売却の場合、マイホーム3000万円控除の対象とはならないから
注意が必要だよ。

・別荘など保養、趣味または娯楽のように供する家屋
・マイホーム3000万円控除を受けるために入居した、と認められる家屋
・建築期間中の仮住居など一時的な利用を目的とする家屋
・居住用家屋が2つ以上ある場合の、主として居住用に使用している家屋(生活の拠点があると認められる家屋)

Q.家屋と敷地の所有者が異なる場合、家屋を売却した時の譲渡所得が3000万円を超えず、3000万円の特別控除額に満たないとき、
その家屋の売却において控除しきれなかった額分を土地等の譲渡益から控除できるの?
まご

その家屋の売却において控除しきれなかった部分は、以下の要件のいずれにも該当する場合に限り、
敷地である土地等の譲渡益から控除することができるよ。

①家屋とともに敷地である土地等の売却があったこと
②家屋の所有者と土地等の所有者がその家屋に同居する親族であり、かつ、生計をひとつにしていること

Q.家屋の所有者が転勤などで単身で暮らしている場合、マイホーム3000万円控除の対象となる居住用の家屋といえるかの?
まご

転勤などの事情が解消した場合に一緒に生活することになると認められる場合、
その配偶者などの住んでいる家屋は、本人の居住用家屋としてマイホーム3000万円控除の対象となるよ!

具体的な事例を検討しよう

まご

それじゃあ、具体的な事例を見てみよう!

~事例~


母所有の先祖代々の土地に、子が10年前、2000万円の木造住宅を新築した。
その後、その住宅に親子で同居してきたが、令和2年中に土地と建物を5000万円で売却した。

譲渡所得にかかる税額はいくらになるか?

譲渡資産所有者収入金額の内訳取得価格譲渡費用
家屋1600万円2000万円60万円
土地3400万円不明(概算取得費5%を適用)140万円
Q.子の所有する家屋の譲渡所得にかかる税額は?
まご

それじゃあ、検討してみよう!

子の所有する家屋の譲渡所得にかかる税額を導くための基礎となる譲渡所得額を明らかにするため、譲渡益を計算するよ。
譲渡益を導くための式は、

譲渡益=収入金額−(取得費+譲渡費用

だったね。


ここにいうマイホーム売却の場合における取得費とは、その売却しようとする建物を取得した時の価格、設備費、改良費等の合計額から「償却費相当額」を差引いたものをいうよ。
そして、マイホームの「償却費相当額」は、

その売却しようとする建物を取得した時の価格×0.9×以下のマイホーム種類別の償却率×経過年数(6カ月以上の端数は1年、6カ月未満の端数は切捨て)

木造木骨モルタル(鉄骨)鉄筋コンクリート金属造
(骨格材の肉厚3mm以下)
金属造
(骨格材の肉厚3mm超4mm以下)
0.0310.0340.0150.0360.025

という式で、計算するよ。

本事例における償却費相当額は、

2000万円(取得価格)×0.9×0.031(マイホーム種類別の償却率、本事例では木造)×10(経過年数)=558万円

と、なるよ。

まご

そしたら、子の所有する家屋についての譲渡益

1600万円(収入金額)−{2000万円(取得価格)−558万円(償却費相当額)+60万円(譲渡費用)}=98万円(譲渡益)

そして、譲渡所得額譲渡益から特別控除の額を差引くことによって導かれるから、

98万円(譲渡益)−98万円(特別控除)=0円(譲渡所得)

まご

よって、譲渡所得額が0円になることから、子の家屋の譲渡所得にかかる税額は0円になるね。

Q.母の土地の譲渡所得にかかる税額は?
まご

同じように検討してみよう!

まずは、譲渡所得にかかる税額を出すためには、譲渡益を出すよ。
そしたら、本事例の譲渡益は、

3400万円(収入金額)−{3400万円×5%(概算取得費)+140万円(譲渡費用)}=3090万円(譲渡益)

そして、譲渡所得額譲渡益から特別控除の額を差引くことによって導かれるよ。
また、本事例では、

①家屋とともに敷地である土地等の売却があったこと
②家屋の所有者と土地等の所有者がその家屋に同居する親族であり、かつ、生計をひとつにしていること

いずれの条件も満たされるから、
家屋の売却において控除しきれなかった残額を、敷地である土地等の譲渡益から控除することができるよ。

だから、本事例の母の土地の譲渡所得は、

3090万円(譲渡益)−{3000万円−98万円(特別控除の残額)}=188万円(譲渡所得)

と、なるよ。

まご

そして、譲渡所得にかかる税金の具体的な額を出す計算式は、

譲渡所得額×税率=譲渡所得にかかる税金の具体的な額

だったね。

それで税率は、その売った土地を所有期間で変わるんだったね。
本事例の土地は、先祖代々所有されていたものであるから、所有期間がその土地や建物を売った年の1月1日の時点において
5年以上の場合であることから、
税率は、所得税が15.315%、住民税が5%と合わせて20.315%になるね。

ということは、

188万円(譲渡所得)×20.315%(税率)=38万円1922円(譲渡所得にかかる税金の具体的な価格)

と、なるね。

まご

よって、母の土地の譲渡所得にかかる税額は、38万円1922円となるよ。

まとめ

ばあちゃん

ありがとう、まごちゃん。
マイホームを売るときは一定の場合、税金が控除されるんだねえ。

まご

どういたしまして、ばあちゃん。
マイホームを売る場合、今回のマイホーム3000万円控除だけじゃなくて
他にもいろいろな制度があるから、また次回以降に説明するね!

ばあちゃん

まだ他にもマイホームを売るときにはおトクな制度があるのねえ、助かるねえ。
次回も楽しみにしてるよ、まごちゃん。

3000万円の控除を利用できればかなりの額の税金を節税することが出来ます。しかしながら買い替えの場合、次に購入する物件で住宅ローンを組んだ際に、住宅ローン控除か3000万円控除かどちらかを選択しなくてはならない場合もあるのでどちらの方がお得なのかファイナンシャルプランナーなどに相談してみるのもおすすめです。

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