譲渡所得にかかる税金ってどれくらい？～ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」①～

まごちゃん、相談があるの。

うん、どうしたの、ばあちゃん。

わたし、賃貸用の土地と建物を売りたいと思っているの。

うんうん。それで？

でも、土地とか建物とかを売ると税金がかかるんでしょう。
それがとっても不安なの。孫ちゃん、具体的に税金ってどれくらいかかるのかしら？

なるほど。譲渡所得にかかる税金の話だね。
それじゃあ、具体的に説明していくよ。

まごちゃん、その「譲渡所得」ってのは何なの？

基本的には、土地や建物を売った時に手に入る売上金から、諸経費を除いた金額
というイメージだよ。
譲渡所得には、所得税と住民税がかかるよ。

そんで、その譲渡所得ってのは、具体的にどうやって計算するのかしら？

譲渡所得の具体的な金額は、簡単に言うと
土地や建物の売上金(収入金額)から、取得費、譲渡費用などの必要経費を差し引いて
その差し引いた額からさらに特別控除などを控除して計算するよ。

なるほどねえ。

そして、譲渡所得の具体的な計算式は

収入金額̠−(取得費+譲渡費用)−特別控除=譲渡所得の金額

となるよ。

まごちゃん、取得費って何のこと？

基本的には、ばあちゃんが今回売ろうとする土地や建物を購入したときの購入金額と、その購入後の設備費や改良費用などを合計した額をいうよ。

そして、売った建物が店舗や賃貸住宅などの業務用建物だった場合、その購入から建物を売る時点までの減価償却費の累計額を、この合計額から差引いたものが、取得費となるよ。

なるほどねえ。

でもね、売ろうとする建物がマイホームなどの非業務用建物の場合は、また取得費の扱いが違うから

マイホーム売却における3000万円控除って知ってる？～ばあちゃんと孫と学ぶ「土地建物の税金」②～

を確認してね。

なるほどねえ、ありがとう。

そして、売った土地や建物が先祖代々の土地などで取得費が不明の場合や、実際の取得費が土地や建物の売上金の5%を下回る場合、土地や建物の売上金の5%を「概算取得費」とすることが出来るよ。

それじゃあ、どんな費用が取得費に含まれるのかしら。

具体的には、

・今回土地や建物を売る人がその土地や建物を購入、建築した時の代金
　購入時の仲介手数料
・建物付き土地を購入した場合の立退料、建物の解体費用
・登録免許税、不動産取得税、印紙税などの税金

などが、含まれるよ。

今度は譲渡費用について説明してちょうだい。

譲渡費用とは、土地や建物などを売るために直接かかった費用をいうよ。

なるほどねえ。それじゃあ、具体的にはどんな費用が譲渡費用に含まれるのかしら？

具体的には、

・土地や建物を売る際に支払った仲介手数料
・売主負担の印紙税、広告料、調査測量費、交渉費
・貸家を売るため、借家人にっ家屋を明け渡してもらうため支払う立退料

などが、含まれるよ。

まごちゃん、特別控除ってのはなんなのかしら？

特別控除とは、ある一定の要件を満たす土地や建物の売渡しについて、特例を適用することにより、譲渡所得から一定金額を控除すること、をいうよ

特別控除って、具体的にはどんなものが含まれるのかしら？

具体的には、マイホームや空き家の譲渡、収用などによる売渡しの場合が含まれるよ。
これは一例だけどね。

それで、譲渡所得にかかる税金の額は具体的にどうやって計算するのかしら？

譲渡所得にかかる税金の具体的な額を導くための計算式は、

譲渡所得の金額×税率=具体的な税額

と、なるよ。

なるほどねえ。

それじゃあ、税率ってのはどうやって導き出すのかしら？

それはね、税率がどれくらいになるかは、

ばあちゃんがその売った土地や建物を所有していた期間で変わるんだ。

わたしが土地や建物を所有していた期間かい？

そうだよ。

具体的には、所有期間が、その土地や建物を売った年の1月1日の時点において、
5年以下の場合には、
原則として税率は、所得税が30.63%、住民税が9%になるよ。

所有していた期間が5年以上の場合はどうなるのかしら？

所有期間が、その土地や建物を売った年の1月1日の時点において
5年以上の場合には、
原則として税率は、所得税が15.315%、住民税が5%に、なるんだ。

長く所有していた方が税金はかからないのねえ。

まごちゃん、税率が軽減されることはないのかしら？

あるよ、ばあちゃん。

例えば、所有期間がその土地や建物を売った年の1月1日時点において、
5年以下の場合で、
売った相手が国や地方公共団体の場合、
所得税が15.315%、住民税が5%に軽減されるよ。

売る相手が、国とか地方公共団体だと税率が軽減されるのねえ。

うん。

他にも、所有期間がその土地や建物を売った年の1月1日時点において、
5年以上の場合で、
土地や建物を売った目的が「優良住宅地の造成等」のためになされたものである場合、
譲渡所得の2000万円以下の部分に限り、
所得税が10.21%、住民税が4%に軽減されるよ。

また、所有期間がその土地や建物を売った年の1月1日時点において
10年以上の場合で、
売った建物がマイホームである場合、
譲渡所得の6000万円以下の部分に限り、
所得税が10.21%、住民税が4%に軽減されるよ。

軽減される場合もいろいろあるのねえ。

それじゃあ、具体的な事例を見てみよう！

それじゃあ、検討してみよう！

よって、土地の譲渡所得は9200万円となるね。

同じように検討してみよう！

よって、建物の譲渡所得はマイナス600万円となるね。

土地建物を売却した場合の譲渡損は、
その土地建物を売却した年と同じ年の他の土地建物の譲渡所得との損益通算できるから…

よって、8600万円が課税の対象となる譲渡所得となるね。

譲渡所得にかかる税金の具体的な額を導くための計算式は、

よって、本事例の具体的な税額は、1747万円900円となるよ。

まごちゃん、ありがとう。
譲渡所得にかかる税金について、いろいろわかったわ。

どういたしまして、ばあちゃん。
また、土地建物の税金についてわからないことがあれば
いつでも聞いてね。