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40年ぶりに相続法が改正され、そのほとんどは2019年から施行されました。
これまでの相続法はどのようなもので、それが一体どのように変わったのでしょうか?
本特集では、「相続のことはよくわからない」という方でも理解しやすいよう、要点をおさえていきます!
第2回では、「特別寄与料」についてご紹介します。

相続人以外の人でも貢献が認められ、相続人に対して支払いを請求できる特別寄与料。
あまり聞きなれない言葉であるかと思います。

ですが、実際のシチュエーションを想定することで理解しやすくなると思いますので、ご紹介してまいります。

登場人物1人目:お父さん(被相続人)
登場人物2人目:息子(長男)
登場人物3人目:息子(次男)
登場人物4人目:次男の奥さん

A家での出来事です。
お父さん(94歳)は足を骨折し、寝たきりになってしまいました。長男と次男は仕事が忙しく、身の回りの世話はすべて次男の奥さんがしていました。ある日、お父さんが亡くなり、長男と次男は父の遺産を相続することになりました。この場合、次男の奥さんは特別寄与(お父さんの介護)の主張をすることができるしょうか?

実はこれまで、寄与分が主張できたのは相続人のみであり、相続人以外(今回の記事では次男の奥さん)は、特別寄与を主張することができませんでした。これでは相続人以外で特別な寄与をした親族がもやもやしてしまいます。

幸いにも、この状態は2019年の7月1日に施行された改正法によって是正されました。
それが本記事の冒頭で触れた「特別寄与料」になります。

これにより、次男の奥さんは特別寄与者として特別寄与料を請求することが可能です。
なお、この請求金額は「第三者の日当額×療養看護日数×裁量割合」で計算できますが、ちょっとわかりづらいですよね。少し補足しましょう。
まず、「第三者の日当額」とは、第三者(介護ヘルパーなど)に療養看護をお願いしたときにかかる費用(日当)を表しますが、この他にも、介護報酬基準額が用いられる場合もあります。
次に、「療養看護日数」ですが、介護をしていた期間を表します。
最後の「裁量割合」は、有資格者(介護の専門家等)に頼んだ場合よりも少し控えめに見積もることを意味しています。この値は0.5~0.8程度になります。

では、例でみてみましょう。
お父さん(被相続人)の世話を次男の奥さんが1日2時間しており、その期間が2年続いたとします。
この介護費用を1時間当たり5千円とすると、
1万円(第三者の日当額)×730日(療養看護日数)×0.7(裁量割合)=511万円(特別寄与料)
となります。
第三者の日当額は五千円×2時間で1万円、療養看護日数は365日×2年

しかし、ここで注意しておきたい点が3つあります。
1つ目は、「被相続人(本記事ではお父さん)に対して看護等の労務の提供をどのような形態で行ったか」です。この労務の提供は無償でなくてはなりません。
2つ目は、労務の提供によって被相続人の財産が維持、ないし増加したかどうか」です。この表現では少しわかりにくいですが、次男の奥さんの介護がお父さんの介護施設等への入居料を浮かせたと考えれば、維持・増加に当てはまると考えることが可能です。
3つ目は、「被相続人の親族であるかどうか」です。ひとえに親族と言っても曖昧な感じがしますが、法律上では、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族のことをいいます。
この点はぜひおさえておきましょう!!

相続特集第2回、いかかでしたでしょうか?
次回は「預貯金の仮払い制度」についてご紹介します。

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