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今回のテーマは、「不動産売却における3つの耐用年数とは」。

少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

◆そもそも、耐用年数とは?
耐用年数とは、建物や機械などの長期利用する固定資産について、利用に耐えられる年数のことを指します。主に税務上で減価償却を行う際に、その計算の基礎として使います。
例えば、3000万円の価値がある不動産があり、その耐用年数が20年と設定されていたとしましょう。その場合は年々 3000万÷20年=150万円 ずつ資産価値が減少していき、20年後には資産価値が0円となる、ということです。
たとえ資産価値が0円になったとしても、そこに住めなくなるわけではありません。あくまでも資産価値が0になっただけで、居住することは可能です。
ここでご説明したのは、「理論としての耐用年数」です。
耐用年数は、3つの決め方があり、そのうちの2つ「物理耐用年数」と「法定耐用年数」が、不動産売却の際に関わってきます。
重要なのは、法定耐用年数が、建物価値の残存期間をあらわしているわけではないということです。法定耐用年数が過ぎたからといって、建物の寿命が尽きるわけではありません。

◆3つの耐用年数の決め方
それでは、不動産売却の際に関わる2つを含む、3つの耐用年数の決め方を詳しく見ていきましょう。
【物理的耐用年数】
物理的耐用年数とは、その言葉通りに「モノ」の劣化によって、物理的に使用できなくなるまでの年数のことです。
建材の品質や構造物の仕組みを維持することができる期間ですから、使用状況によって変化しやすい不動産の耐用年数を表すことにはあまり用いられません。どちらかというと、不動産よりは電化製品やバッテリーなどに使われることが多いようです。
【法定耐用年数】
法定耐用年数とは、不動産の価値を公平に算出するため、国が設定している年数です。
税法上、価値を有する期間ということになっており、法定耐用年数を経過しても使用できなくなるというわけではありません。
法定耐用年数は、不動産に課される固定資産税を算出する際に用いられます。
「法定」という言葉が使われているため、なんだか絶対的な基準のように感じますが、単に財務省令によって定められた減価償却費の算定基準に過ぎない、と覚えておいてください。
【経済的耐用年数】
経済的耐用年数とは、その「モノ」の価値がなくなるまでの年数のことです。物理的耐用年数はモノが壊れるまでの年数を表していますが、こちらはモノの価値がなくなるまでの年数となります。
劣化の程度や建物の機能、将来的に行われるメンテナンスなどを考慮しながら耐用年数を算出します。物理的耐用年数よりも算出しやすいものの、やや公平性に欠ける部分があるため、不動産の耐用年数を決める場合は法定耐用年数を用いられることが多いようです。


◆耐用年数は建物だけ
耐用年数は経年劣化が生じるものに適用されるため、土地には適用されません。あくまでも経年劣化が生じる物件だけとなっていますのでご注意ください。