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はじめに

民法改正により新たに創設された配偶者居住権は、配偶者が所有権を持たなくても自宅に住み続け、一定の生活費を確保できるように
配慮した制度です。税制改正でその評価方法などが決まりました。

配偶者居住権の創設の背景

配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が被相続人の遺産である自宅建物を所有権がなくても無償で使用できる権利です。
遺産分割は基本的には法定相続分で行われますが、自宅以外の相続財産が少ない場合には配偶者が建物所有権のすべてを取得することができず、
住み慣れた自宅を売却した資金を他の相続人に渡すといった方法を取ることがありました。
また、配偶者が自宅を丸々相続してしまうと、その後の生活資金に充てる預貯金を十分に相続できないという事案が生じていました。
このような問題を背景として配偶者居住権が創設されました。

配偶者居住権の概要

一般的な配偶者居住権は被相続人から相続する建物および土地を居住権と所有権に分離して考えます。具体的には、配偶者が
配偶者居住権と配偶者敷地利用権(以下「配偶者居住権等」という)を取得し、配偶者以外の相続人等は配偶者居住権の負担のついた
建物所有権と土地所有権を取得します。
こうすることで、配偶者は自宅以外に預貯金の取得財産を増加させることができます。

配偶者居住権の登記

配偶者居住権は、公示することで第三者に対抗できるため、居住建物の所有者に対し配偶者居住権の設定登記が義務付けられています。
配偶者居住権を登記していれば、所有権の移転があった場合でも譲受人に対して居住権を対抗することができ、新しい所有者から退去を
迫られることはありません。また、居住建物の所有権の承諾があれば、居住建物の増改築や居住建物を第三者に賃貸することができます。
なお、配偶者居住権の設定登記にかかる登録免許税額は、居住建物の固定資産税評価額×0.2%になります。

配偶者居住権等の評価

配偶者居住権の創設にともない、令和元年度の税制改正で、相続税法の中に配偶者居住権等の評価方法が定められました。
この改正は、令和2年4月1日以後の相続から適用されています。