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価格査定マニュアルとは、昭和55年の宅地建物取引業法改正により媒介契約制度が施工されたことに伴い整備されたものです。
すなわち、宅地建物取引業者が媒介契約を締結するに際して、媒介価額についての意見を述べる時は、その根拠を明示しなければならない旨、
宅地建物取引業法第34条の2第2項により定められました。

価格査定マニュアルの基本構造

一般に不動産の価格を判定する手法としては、以下の3つが考えられます。

第1は比較方法といわれるものでこれは、対象不動産と類似の不動産が実際にいくらで取引されているかを調査し、この取引価格をもとに、
対象不動産と取引された不動産を比較して、対象不動産の価格を求めるもので、不動産の市場性に着目した手法です。

第2は、原価方式でこれは、対象不動産と同等のものを現在造ったらいくらかかるのかを調査し、これに対象不動産が造られてから
何年経っているかによる減価修正を行って価格を求めるもので、不動産の費用性に着目した手法です。

第3は、収益方式でこれは、不動産が賃貸用等に供されている場合、その元本と得られる収益の関係に注目し、収益を一定の利回りで
割ることによって不動産価格(元本価格)を求めるもので、不動産の収益性に着目した手法です。

現在、価格査定マニュアルには⑴土地価格査定マニュアル、⑵戸建住宅価格査定マニュアル、⑶中古マンション価格査定マニュアルの3種類が
あります。
⑴土地および⑶中古マンション価格査定マニュアルは、上記第1の比較方式を利用しています。また、⑵戸建住宅価格査定マニュアルは、
戸建住宅が土地と住宅により構成されているため、土地部分の価格については上記第1の比較方式、住宅部分の価格については上記第2の
原価方式によりそれぞれ算出し、その合計額をもって査定価格としています。

⑴土地価格査定マニュアル

まず、媒介の依頼を受けた住宅地(これを「査定地」といいます。)と位置や現況等、住宅地としての条件が類似した土地で、すでに売買が
行われたもの(これを「事例地」といいます。)を選定します。次に、事例地の㎡当たり成約価格をもとに、「宅地条件格差表」に従って事例地と
査定地の住宅地としての条件を比較し、査定地の㎡当たり単価を求めます。これに査定地面積(㎡)を乗じ、最後に市場性による調整が必要な場合
には、一定の流通性比率を乗じて査定価格を算出します。

⑵戸建住宅価格査定マニュアル

戸建住宅は土地部分と建物部分により構成されています。
したがって、土地部分については前記土地価格査定マニュアルにより査定価格を求めます。次に建物部分については「戸建住宅価格査定マニュアル(パソコンソフト)」の「戸建建物価格査定システム」(以下、「システム」といいます。)によって価格を算出します。
この「システム」は、煩雑な建物価格の計算を自動化する目的で開発され、計算に必要な各種係数は「システム」に全て内蔵されているため、
必須・任意の入力項目が入力されていれば価格査定が算出される仕組みになっています。システム内部では、査定戸建住宅所在地域の㎡当たり標準建築費を基に、品等、規模による修正を行い、これに査定戸建住宅の床面積(㎡)をかけて建物部分の査定価格を求めています。
そして、このようにして求められた土地部分と建物部分の査定価格を合計し、最後に市場性による調整が必要な場合には一定の流通性比率を乗じて
査定価格を算出します。

⑶中古マンション査定価格マニュアル

まず、媒介の依頼を受けた中古マンション(これを「査定マンション」といいます。)と位置や周辺環境、建物グレードや階高の類似した中古マンションで、すでに売買が行われたもの(これを「事例マンション」といいます。)を選定します。
次に、事例マンションンの㎡当たり成約価格をもとに、「中古マンション条件格差表」にしたがって事例マンションと査定マンションを比較し、
査定マンションの㎡当たり単価を求めます。これに査定マンションの専有面積(㎡)を乗じ、最後に市場性による調整が必要な場合には、一定の
流通性比率を乗じて査定価格を算出します。

なお、上記3つの価格査定マニュアルを使って価格査定を行う場合、宅地条件格差表・中古マンション条件格差表による格差の判定は、
同じ者が行わなければなりません。また、必ず現地調査を行います。