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さて、今回からは2回にわたって「不動産の価格」をテーマにお届けします。
不動産売却を決意したとき、最初に気になるのは「自分の所有する不動産にどれくらいの価値があるのか?」と
いうことではないでしょうか。
不動産会社から提示された査定額に、「この金額は本当に妥当なのか」「もっと高く売れるのでは?」と疑問を
持つ方もいらっしゃるかもしれません。
不動産は、通貨や株価のようにさまざまな要因で変動するため、価格の見極めは簡単ではありません。「どうや
って不動産の価格が決められているのか」を知っておくと、ご自身が不動産を売却する際にきっと役立つはずです。

不動産は高額な商品ですが、需要と供給のバランスが価格に影響するのは、日常で売買される「物」と同じで
す。ただし、不動産にはいわゆる「定価」というものがないので、価格の妥当性は一般の人ではわかりにくいも
のです。
似たような不動産はあっても、同じ不動産は2つとありません。隣り合わせの不動産でも、まったく同じ条件で
はないため、査定額にも差が出ることがあります。
この「世界に1つしかない商品」であることにより、不動産価格の判断が難しくなるのです。
では、不動産の価格はどうやって決まっているのでしょうか。

◆不動産の価格を決めるもの
先述のように、不動産価格の判断は難しいものです。そこで、ここからは「不動産鑑定評価基準」の考え方をご
紹介することで、不動産の価格を決めるものが何かに迫りたいと思います。ただし、必ずしも「不動産鑑定評価
=不動産の売れる価格」ではないことは覚えておいてください。
不動産鑑定評価基準では、不動産の価格は以下の3つが組み合わさって生じる経済的価値を金額で表したもの、
とされています。
(1)不動産の効用
「不動産を活用して何が得られるか」ということです。日常生活や経済活動において、どれくらい役立つか、ど
れくらい収益をもたらしてくれるかといったことで、不動産の価値をはかります。
(2)不動産の相対的希少性
「他の不動産と比べて市場価値が高いか低いか」ということです。例えば、都心部で住宅が少ない土地柄にある
不動産なら、それだけ希少価値が高いということになります。
(3)不動産の有効需要
「その不動産を欲しいと思う人がどれくらいいるか」ということです。条件が良く、手に入れたいと考える人が
多い不動産なら、競争原理が働くので、それだけ価格も押し上げられます。
例えば、駅に近くて、買い物にも便利な場所に所在する不動産を例に考えてみましょう。
交通利便性や生活利便性に優れた物件は「効用」が高く、駅近接の土地は限られるため「希少性」も高いと言え
ます。さらに、利便性が良く希少価値が高い物件は「需要」も高いと考えられます。
この3つがそれぞれどの程度なのかによって、不動産の経済価値=不動産の価格が決まるのです。