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さて前回は、資産価値が低い不動産を相続した場合の、売却方法についてお話ししました。
家屋付きのまま売却するのか、それとも更地にして売却したほうがいいのか? ……と、判断に迷う方が少なくありません。
そこで今回から3回にわたって、「家付き」「更地」のメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。

初回は「資産価値ゼロ」とされる古家付きの土地を、そのまま売却するケースを分析してみましょう。

前回もお伝えしましたが一般的には、一戸建ての価値は築20年ほどでゼロになると言われています。
根拠は、木造住宅における税法上の耐用年数が22年と定められていること。「資産価値がない古家は、更地にしないと売却しにくい」と考えても不思議ではありません。
しかし、物件を探す人にとっては「古家付き」ならではの魅力もあります。


◆「古家付き」のまま売却するメリット
・解体費用がかからない
売主にとって、古家付きのまま売却するメリットは、なんと言ってもコスト面です。まず、家の解体費用がかかりません。
家の解体費用は、躯体の構造や坪単価でだいたい決まります。あくまで目安ですが、木造では坪3~5万円程度。延べ床面積が30坪の家なら、90万円~150万円の解体費用がかかりますが、古家付きのまま売却すれば、売主が解体費用を負担しなくて済みます。
・固定資産税を節約できる
築20年以上を経過した古家は、資産価値が低い分、税金が安くなります。
土地に建物が残っていれば、「固定資産税の住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税や都市計画税が安くなります。マイホーム所有者への負担軽減措置ですが、空き家にも適用されます。
なかなか物件が売れないときでも、少ない税負担で売却活動を継続できるということです。
・「家」と「土地」の両方からアプローチできる
物件を探す人の中には、「古家を購入したい」という人も一定数います。
近年は、安く購入できて自分好みにリフォーム・リノベーションができる「古民家」の人気が高まっており、古民家を専門とする不動産会社やマッチングサイトもあるほど。古家だから売れないわけではありません。
また、「古家付きの“土地”」という売り方をするケースもあります。家ではなく、土地の価値を強調することで、宅地を欲しがる人にも訴求することができるのです。「家」と「土地」、両方の購入希望者にアピールすることで、売却のチャンスも広がります。